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スイスの小学校ではどのような教育を行っているのか

4つの公用語・4つの言語圏・26の州と準州で構成されているスイス

日本におけるスイスのイメージと言えば「永久中立国」や「アルプス山脈」「スイス時計」「ビクトリノックス(マルチナイフツール)」といったものが挙げられるでしょう。

のどかな草原と高山の雪原風景が広がる観光名所としても有名ですが、実は非常に複雑な国家構成をしています。

中でも他の国でも滅多に類を見ない特徴として、国内の公用語が4つあるということがあります。
具体的には「ドイツ語(約60%)」「フランス語(約20%)」「イタリア語(約6%)」「ロマンシュ語(約0.5%)」で、その他にも少数言語を使用している地域があります。

ちなみに「ロマンシュ語」とは、かつてスイスがローマ帝国の属州であった時期に公用語として使用されてきたもので、ラテン語がアルプス山間部で独自の進化をした言語です。

使用されている地域が非常に狭いことから、ドイツ語やフランス語のようにしっかりした言語体系が研究されているわけではなく、使用されている地域ごとに統一されないルールもあるようです。

スイスはヨーロッパ国内でも決して広大な面積を持つ国ではなく、どちらかというと小さな国として分類されています。

しかし内部には26の州や準州があり、教育制度や自治制度はそれぞれの地域ごとに運営が任される形となっています。

こうした地域ごとの自由な教育制度がある事こそが、スイスの学制最大の特徴です。
なおスイス国民は非常に愛国心が強い国民性であることでもよく知られており、反面で国際結婚にあまり抵抗感がないとされています。

スイスと初等教育における学習内容

スイスの学制を簡単に説明すると、義務教育が幼稚園からの11年となっています。
幼稚園2年、小学校4~6年、中学校3~5年で地域ごとに微妙な差があるものの、合計で11年間という点では共通しています。

中学校卒業後はほとんどの生徒が高等学校に進学をし、大学に進学を希望する場合には独自の大学入学資格である「マトゥーラ」を取得してから、それぞれの学校を受験します。

特徴的なのが、就学前の低年齢児(3~5歳)の就学前教育を非常に丁寧に行っているという点です。
入学前に本人を交えた教師と両親との3者面談が年に2~3回行われ、子供の様子や適性について意見を交換しあい、教育目標を定めていきます。

スイスの学校は入学が8月、卒業が7月となっています。
学校内で最も力を入れているのが第二言語の習得で、特にドイツ語圏に生活をしている子供には必ず「第二言語習得」を必須科目としてフランス語、イタリア語、英語といったものから選択して履修します。

時間割は厳密に決められているわけではなく、学校やクラスによってかなりルーズに実施されます。